I don't think so !

じゃあ、お前はどう考えるのだ!

海王丸と富山湾の曇り空

サラリーマンとしての基礎的能力は訓練によって身につけることができる/思考能力編②

<ドリルダウン思考法(深堀能力)>

ドリルダウン思考法は、トラブルなどの原因を深堀するためのものである。方法は良く言われる"WHY"を5回以上繰り返すこと。いろいろなテキストに書かれていることだ。たとえば次の通りである。

問題:不良品を顧客に納品してしまった

1.なぜ、不良品を納品してしまったのか→担当社員がアホだから

2.なぜ、担当者社員をアホというのか→納品するときに製品チェックを行わなかったから

3.なぜ、担当社員は製品チェックを行わなかったのか→製品チェックのためのチェックリストがなかったから

4.なぜ、製品チェックのチェックリストがなかったのか→製品チェックは当たり前のことで、各人が自主的にやっているから

5.なぜ、各人は自主的にやっているのか→製品チェックの統一的なルールがないから

6.なぜ、統一的なルールがなかいか→会社として決めていないから

という感じである。ここから「製品チェックの実行を会社の業務ルールとして確立し、統一的なフォーマットでチェックリストを作成して運用する」という対策が導かれる。これは有効な思考方法だ。

上記は実例である。アホな管理者は上記1の「担当社員がアホだから」という責任転嫁で済ませてしまう。"WHY"のドリルダウン思考を展開できないのだ。対策は「二度と同じミスを起こさないよう厳しく注意しました」ということになる。さらに、自ら顧客に出向いて謝り、この問題を円満に収束させましたと誇らしげに語ったりする。アホの上に”ド"がつく管理者だ。トラブルの原因究明もできなければ、当事者意識もない。大手企業であれば違うのかもしれないが、中小企業の場合、圧倒的にこのケース、このレベルの管理者が多いのではないか。

ミスやトラブルを繰り返す社員はだいだい決まっている。同じ社員が同じ仕事で同じようなミスを繰り返し、その管理者が同じように「厳しく注意しました」と社内会議で報告したときに、上記6までのやり取りをネチネチと行い、「統一フォーマットによるチェックリスト作成」を会議の席上で約束させたのだ。放っておくとアホな管理者は人事異動のとき、裏で画策して「アホな社員」を自部署から追い出し、他部署に押しつけようとする。厄介払いだけされたのでは会社としては大問題だ。大切なことは厄介払いすることではなく、組織や制度もしくは仕組みとしてミスやトラブルを起きにくくすることだ。

上記の場合、同じ仕事でミスが繰り返されたことに疑問を感じ、後日、それとなく他の部員に聞いてみたところ「ミスを繰り返しても仕方ないぐらい煩雑で短納期な仕事」と同情的だった。ということは「管理者がアホだから」あるいは「煩雑な仕事だから」を起点としたドリルダウンを展開すべきだったのかもしれない。現実の仕事で大切なことはいろいろな方向にドリルダウンすることだ。世の中、1方向のドリルダウンだけで真の原因がつかめるほど単純ではない。

なお、ドリルダウン思考法には以下のような注意点がある。

①枝分かれする要因は別途深堀する

深堀する方向ではなく並列的な方向の要因もある。たとえば上記1の「担当社員がアホ」のほかに「製造装置の老朽化」が挙げられれば、これは並列的な要因であるため、「製造装置の老朽化」を起点とした深堀が可能になる。要因が深堀方向か並列方向かの見極めが必要だ。

②自分たちが関与できない社外の方向に深堀しない

「担当社員がアホ」に対し「学校教育の質の低下」と社外の方向に深堀してしまうと対策を打てない。あくまでも当事者意識を発揮できる社内方向で深堀することが重要である。「景気が悪いから」とか「大雨で客数が減ったから」なども同じである。ただし、具体的な競合社の動向に深堀し、それに対応できない自社の問題に戻ってこれるような場合は別である。 

 (続く)