I don't think so !

じゃあ、お前はどう考えるのだ!

海王丸と富山湾の曇り空

サラリーマンとしての基礎的能力は訓練によって身につけることができる/判断停止の思考術

<サラリーマンとして必要な思考能力>

以上、私が考えるサラリーマンに必要な基礎的な文章能力、五つの思考能力、コミュニケーション能力である。誰もが持っている能力であり、少しばかりの努力と訓練で磨きをかければ、サラリーマンとしては十分にやっていくことができる。十分にやっていけるとは昇格、昇給を実現できるという意味だ。もちろんそれを望まないサラリーマン人生だってある。

さて、思考能力について振り返っておくと、

①押さえておくべきいろいろな要因を洗い出す列挙能力、これは思いくつくままに、すなわち思いつくことに対し判断を停止してワープロに書き出すだけで身につく。この判断を停止する思考術については便利な思考術なので後ほど説明する。列挙能力、洗い出し能力が物事を考えるスタートラインになる。この能力不足を感じるのであれば部内のブレストなどで簡単に補うこともできる。

②次に問題の原因を追求する深堀能力、Whyを繰り返すドリルダウン思考法だ。Whyを自らの行動に結びつくように5回以上繰り返すだけでよい。

③プラス・マイナス思考法はマイナス要因だけではなく、プラス要因も考える思考法だ。欠点の指摘やマイナス要因の列挙は誰にでもできる簡単なことであり、誰にでもできないのがプラス要因をくみ上げることだ。これをやらずに改善を進めると大きな失敗につながることもある。

④松竹梅型思考法は、何らかの提案を考えるとき、必ず3案以上を考える思考方法だ。そうすれば自ずと自らの提案はより良くなる。この案が絶対だ、この道しかないというのは危ないだけだ。

⑤最後は、いろいろなトラブルや出来事、仕事の共通性を考える抽象化能力である。共通性を見出す能力は、本来、人間に備わっている能力であり、誰にでもできることである。共通性から自らの行動を引き出すことが教訓を学ぶという行為にほかならない。抽象化能力を伸ばすためには、日常的に共通性を考える習慣を身につけるだけだ。

サラリーマンとしては以上の思考能力があれば十分だろう。誰にでもできそうなことだし、誰でも普通にやっていることなのに、これがなかなかできないと言われる。なぜか。やはり思ったことや考えたことを文章化する能力が大きな関門だろう。

40、50歳代の管理職になってからでは手遅れなので(文章能力のない管理職は早く管理職の任を解くしかない)、20歳代や30歳代の若いうちに頑張って文章能力の訓練をすることだ。スマホを使えば、いつでも、どこでも思いつくままに文章化できる便利な時代だ。私も以前、1年ほどツイッターを続けた時期があった。意識的に文章を140文字で完結させるようにし、無理であれば140文字の倍数になるようにしたのだが、あれは素晴らしい文章の書き方訓練ツールだと思う。

思ったことを思いつくままに文章にすることが習慣化すれば、思考能力は自ずと身につくようになる。

もう一つの関門が、あれやこれや一度に考えてしまい、整理ができず、余計混乱して終わってしまうことだ。一つひとつ順を追って考えることができないのだ。一つひとつ考えるのは五つの思考能力に共通する思考術だ。

<判断停止の思考術>

社内で使用する業務アプリの画面デザインを考えてみよう。社内で使用する業務アプリを自社開発する場合、通常は画面デザイナーを必要としない。担当社員とプログラマーでデザインを決めるのだが、これが下手である。下手な理由ははっきりしている。担当社員の頭の中の整理が不十分なのだ。

業務アプリの自社開発で画面デザインをする場合、次の3つの要素を一つひとつ考えれば良いだけである。一つひとつ考えるときの優先順位は下記の通りである。

①機能

②操作性

③デザイン

機能を洗い出すときは、操作性やデザイン性はいったん棚上げにして機能の洗い出しに専念する。この操作性やデザイン性を棚上げにするのが判断停止の思考術だ。機能の洗い出しが終わったら、次に操作性のみを考える。その段階ではデザイン性などの見てくれは棚上げにする。機能の洗い出しが不十分なままに、次の操作性やデザインを考えたりすると、考えていなかった機能が次から次へと現れ、その都度、デザインのやり直しになったりするので非効率的でもある。

社内打ち合わせなどでも、機能の洗い出しを行っているのに、操作性やデザインなど議論していないテーマや次に議論すべきテーマを持ち出す社員は必ずいる。判断停止の思考術ができないのだ。するとすぐに同調する社員も出てくるから困ったものだ。不十分な検討しかしていないことすら理解しないまま、次のテーマに移ってしまうのだ。「さっきの話の結論はどうなった」とか「今、そのことは議論していないから」といって議論を引き戻すことになる。本当に何度、議論を引き戻してきたことか。

議論が行き詰まって次に行かざるを得ない場合は、いったんまとめを行うなり、後から戻って議論することを宣言した上で次に進むことだ。

いずれにせよ、考えるべきことがらが複数あったら、一つひとつ考え、最後まで考えつくしたと思ったら、はじめて次の検討事項に移る。一つひとつ考えることができないと、整理が悪いということになる。また、最後まで考えつくしたという感覚は大切だ。もちろん後から忘れていたことが出てきても構わない。最後まで考えつくして次に移るという意識や感覚が重要だ。

最後に蛇足ながら画面デザインついての私の経験則をまとめておく。

①機能の洗い出し

業務アプリの画面機能は、通常、項目名、表示情報、入力情報などの情報表示機能とデータ更新や印刷、他画面への遷移などの機能の実現に分けられる。情報表示機能は検索した結果を単純に表示する場合と集計など何らかの処理を行って表示する場合に分けられる。このように場合分けして項目名、表示内容、処理内容を表にまとめていくのが機能の洗い出しである。処理内容が複雑で表に収まらなければ別紙にする。大切なことは見やすいように一覧化することだ。

思いつくままでも構わないので表にまとめ、まとめ終わったら、社内の習慣などにしたがって行を入れ替えて表示する順番を決める。情報量の多さによっては複数画面に分ける場合も出てくるので、そのときは情報をカテゴライズ(分類)する。

②操作性

操作性とは使い勝手の良さである。使い勝手の良さとは使用するときの統一感と使用頻度を考慮したボタンや表示情報などの配置、画面遷移などである。画面によって印刷ボタンの位置が異なったり、常に一緒に見るべき情報が泣き別れして別画面に遷移しないと見れないと操作性は悪い。

③デザイン

社内で使用する業務アプリであれば、必要な機能が実現されており、操作性がそこそこであれば、通常は問題ない。しかし統一性など最低限のデザイン上の基本ルールはある。統一性というのは、操作性でも説明した画面タイトルや印刷ボタン、終了ボタンなどの配置位置や使用する文字の大きさ、要素間の距離などをそろえるということだ。社内で作成した業務アプリの画面デザインで間の抜け印象を与えるのは要素間の距離の不統一と空白の取り方が下手な場合が多い。基本原則は距離をそろえ、空白を極力排除することだ。

文字の大きさと文字色は2種類、書体は1種類を基本にする。これは社内ドキュメントも同じだ。普通のサラリーマンには、何種類もの文字の大きさや色、書体をうまく使いこなせないと考えるべきだ。